2010 Fiscal Year Annual Research Report
天文衛星搭載に向けたSISフォトン検出器の超高感度化
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22740129
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
鈴木 仁研 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (30534599)
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Keywords | 天文 / テラヘルツ / 量子型検出器 / MBE |
Research Abstract |
分子線エピタキシー(MBE)技術による高品質な(高純度・良好な結晶性)結晶膜の形成に向けて、MBE装置の整備、結晶成長の技術習得を行った。特に、電子銃が使用可能になったことで、Nb等の高融点金属でも高品質な結晶成長が可能となった。当初の計画では、SIS検出器の超高感度化を目指し、MBE技術によるNb膜の形成を予定していた。しかし、今後のテラヘルツ波帯での観測において、特に未開拓な観測周波数帯である10THz帯での観測が重要視されている。この天文学的背景に加え、その後の検出器開発研究の進展から、10THz帯においては、MBE技術によって製作されたBIB(Blocked Impurity Band)型ゲルマニム(Ge)検出器がSISよりも感度を大きく凌駕する性能を示すことが明らかになりつつある。そこで、超高感度テラヘルツ波検出器の開発という同一研究目的の下で、BIB型Ge検出器の開発の急展開を考慮し、MBE技術を用いたBIB型Ge検出器の超高感度化を目指す。具体的な技術課題点として、(1)GeにGaを高濃度(~10^16/cc)にドーピングした基板(=受光層)上に、極薄(~100nm)・高純度(常温キャリア密度~10^14/cc)なGe膜(=ブロック層)をエピタキシャル成長させる、(2)受光層とブロック層の界面で急峻なGa濃度プロファイルを実現する、である。これらは、液相エピタキシー等の従来法では実現困難な技術的課題点であるが、MBE技術を用いることでブレークスルーとなる。さらに、(3)大規模アレイ化を見越し、MBE技術にて透明電極を形成する。透明電極は、従来、イオン打ち込み法で形成される。しかし、ドーピング濃度プロファイルの制御性が優れているMBE技術を採用することで、透明電極での光吸収率が従来比で1/5程度まで抑制できると期待される。3つの技術課題点において、(1)の極薄で高品質なブロック層の形成に成功、(2)をクリア、(3)のドーピング濃度プロファイルが設計通りに得られ、良好な電気特徃(オーミック接触)が実証された。
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Research Products
(3 results)