2011 Fiscal Year Annual Research Report
天文衛星搭載に向けたSISフォトン検出器の超高感度化
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22740129
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
鈴木 仁研 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (30534599)
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Keywords | 天文 / テラヘルツ / 量子型検出器 / MBE |
Research Abstract |
本研究の目的は、MBE技術を用いたBIB(Blocked Impurity Band)型Geの検出器の超高感度化を目指すことである。そして、本年度の研究計画の達成項目である高性能な透明電極の開発に世界で初めて成功した。BIB型Ge検出器は、典型的な素子サイズが数100ミクロンであるのに対し、電極直下に数ミクロン厚程度しか光感受層を形成しない。従って、Transverse型電極では物理サイズの僅か1%程度の受光面積で赤外線を受けることになり、光感度の高感度化が困難である。ほぼ100%の光受光面積を得るためには、Longitudinal型電極(以下、透明電極)の形成が必須となる。さらに、検出器アレイ型化には、構造上、透明電極の形成が必然となる。透明電極に求められる性能要求は、極低温下(2-4K)で(1)高い赤外線(90%以上@波長40-100μm)透過率、(2)低い比抵抗,(3)良好なオーミック接触である。従来の透明電極では、イオン注入法によりGeに不純物をドープした層が形成されてきた。しかし、同手法では全ての条件を満たすことが技術的に不可能である。特に、ドーピング濃度の低制御性が透明電極の性能を大きく劣化させている。本研究では、分子線エピタキシー(MBE)技術を導入し、ドーピング濃度の高い制御性を確保した。本年度は、実際に透明電極を試作した。具体的には、高純度Ge素子の上にAlを高濃度(4x1O^<16>/cc)にドーピングしたGe層(Ge:Al層)をエピタキシャル結晶成長させた。Ge:Al層のAl濃度および、層厚を高精度に制御することで、透明電極に課せられる要求:(1)ほぼ100%の赤外線透過率、(2)十分低い比抵抗5Ωcm(要求値40Ωcm)、そして(3)良好なオーミック接触全てを達成した。遠赤外線帯における高性能透明電極の実証は本研究が世界初である。本研究成果は、査読付き欧文雑誌に投稿した。
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Research Products
(3 results)