2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740132
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
川原田 円 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (50462677)
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Keywords | X線天文学 / 宇宙物理 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は、「すざく」のデータ解析と、ASTRO-H搭載HXI検出器の開発に大別できる。「すざく」では、A1689銀河団において、銀河団周辺部に高温の領域があり、外側に向かって銀河の大規模構造と接続していることを発見した(Kawaharada et al. 2010)。銀河団をとりまく大規模構造から、銀河団に向かって物質が流入することにより、銀河団の外縁部でプラズマが加熱されていると考えられる。これによって、宇宙の大規模構造から銀河団へエネルギーが輸送されることで、宇宙最大の天体である銀河団が成長していることを世界で初めて示すことに成功した。その成果は、プレスリリースされ、日経産業新聞、日刊工業新聞などに取り上げられ、ニュートン特集号(2010年6月号)、パリティ特集号2011年1月号)、そして天文月報(2011年3月号)に記事が掲載された。 銀河団プラズマへのエネルギー輸送の研究を飛躍的に進めるには、次期X線衛星ASTRO-Hが不可欠である。特に、エネルギーの流入に伴うプラズマの加熱や粒子加速を研究するのに、硬X線領域での撮像分光を可能にする、硬X線イメージャー(HXI)が力を発揮する。本年度、私はHXIの開発に参加し、とくに、設計が遅れていたCXBシールドについて、素材と厚みを決定するための検討を行い、シールドを試作して振動試験を突破した。同様に、デブリ防護と遮光機能をもつ入射窓の設計も行い、音響試験を突破した。また、センサー部に電力を供給するアナログ部であるCPMUのBBMを用いた機能試験を行った。
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Research Products
(7 results)