2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740132
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
川原田 円 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (50462677)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | X線天文学 / 宇宙物理 |
Research Abstract |
今年度は、Abell 1835 銀河団において、銀河団外縁部までの銀河団プラズマの温度・密度・エントロピーの分布を求め、重力レンズ解析による総質量分布と比べることで、銀河団の外縁部における銀河団プラズマの物理状態を研究した (Ichikawa et al. 2013)。温度は、中心の約8 keV からビリアル半径付近では約2keVまでファクター4ほど低下する。エントロピーは、中心からr500付近まではr1.1で増加するが、それより外ではフラットになる。これまでに「すざく」で観測されたほかの天体と比較すると、平均温度でスケールされた温度とエントロピーのプロファイルは良く一致することから(Akamatsu et al. 2011, Sato, K. et al. in prep)、上記のプロファイルの振る舞いは、近傍銀河団に一般的なものである可能性が高い。銀河団プラズマの静水圧平衡を仮定して、Abell 1835 の総質量積分プロファイルを作成すると、Abell 1689のケースと同様に、r500付近より外側で非物理的に低下してしまう。これは、外縁部では静水圧平衡が成立していないことを意味している。外縁部で銀河団プラズマの熱的な圧力は、重力レンズから要請される必要な総圧力の6割程度なので、静水圧平衡が破れていることと合わせると、ガスの乱流や加速された粒子など、非熱的な圧力が残りの圧力を担っている可能性が高い。A1835ではA1689と同様に、外縁部の温度とエントロピーの非等方性が発見され、銀河団周辺の銀河の個数密度マップから、高温領域は銀河団につながる銀河のフィラメントに、低温領域は銀河が少ないボイドに接していることがわかった。これは、宇宙の大規模構造から銀河団ガスへの物質とエネルギーが輸送され、ガスの熱化によってフィラメント方向のガス温度が高くなっていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Suzaku Observations of the Outskirts of A1835: Deviation from Hydrostatic Equilibrium2012
Author(s)
Ichikawa, Kazuya; Matsushita, Kyoko; Okabe, Nobuhiro; Sato, Kosuke; Zhang, Y.-Y.; Finoguenov, A.; Fujita, Yutaka; Fukazawa, Yasushi; Kawaharada, Madoka; Nakazawa, Kazuhiro; and 5 coauthors
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Journal Title
Astrophysical Journal
Volume: 766
Pages: article id. 90
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] The Hard X-ray Imager (HXI) for the ASTRO-H mission2012
Author(s)
Kokubun, Motohide; Nakazawa, Kazuhiro; Enoto, Teruaki; Fukazawa, Yasushi; Kataoka, Jun; Kawaharada, Madoka; Laurent, Philippe; Lebrun, Francois; Limousin, Olivier; Makishima, Kazuo; and 18 coauthors
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Journal Title
Proceedings of the SPIE
Volume: 8443
Pages: 844325-844325-15
DOI
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