2011 Fiscal Year Annual Research Report
酸素・ネオン同位体の分子構造の性質・発現機構の解明と元素合成過程への応用
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22740135
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 真明 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (50402813)
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Keywords | 理論核物理 / 不安定核 / クラスター構造 |
Research Abstract |
今年度は、当初の研究計画に対し、特にF,Ne同位体の低励起スペクトル及び、反応断面積の評価に集中して研究を行った。昨年度から今年度にかけ、Ne同位体に関して系統的な反応断面積の実験が行われ、最新の実験データが発表されたため、優先して取り組むべき課題であると判断したためである。 まず、F,Ne同位体の低励起スペクトルに関しては、反対称化分子動力学による研究を行い、F同位体での分子軌道状態の存在を予言し(誌上論文として発表済み)、また31Neに関して、詳細なスペクトルの予言を行った(論文投稿中)。さらにNe同位体のスペクトルの系統的な解析を行い、現在論文投稿準備中である。また、この研究成果からNe同位体の密度分布を求め、反応断面積の理論的評価を、九州大学の研究者らと協同で行い、観測された断面積の再現に成功した。さらに、観測された断面積を説明するためにはNe同位体の変形の効果が重要であり、さらに31Neでは1中性子ハロー構造が発達していることを、理論的に示した。これらの成果は2編の誌上論文として発表済みで有り、さらに1編を投稿中である。 さらに、上記課題に関連して、安定核である24Mgの励起スペクトルの詳細な研究を行った。この原子核は3軸非対称な変形をしていると考えられているが、完全微視的な理論模型による取り扱いはこれまで、十分に行われていない。反対称化分子動力学による解析を行った結果、正負パリティの両方に於いて、三軸非対称変形が重要な役割を果たすことを示し、誌上論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の進展に伴い、当初計画の実施順序を変更し、スペクトルと断面積の評価を行ったが、予想以上の成果を挙げられた。一方、本来の計画も今後着実に実施していく必要がある
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Strategy for Future Research Activity |
現在、Ne同位体以外においても断面積の測定が系統的に行われているため、当初計画にはなかったものの、それらを優先して実行していくことが喫緊の課題であると判断する。また、本来の計画である少数模型を用いた分子的構造の研究は、前年度までに準備的な研究を終えることが出来たため、今年度具体的に誌上論文などとして、成果を挙げる予定である。
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