2011 Fiscal Year Annual Research Report
素粒子物理学実験Belle2実験のためのSOI検出器を用いた放射線試験
Project/Area Number |
22740136
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小貫 良行 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (40415120)
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Keywords | 素粒子物理 / SOI / 半導体検出器 / シリコン / 放射線検出器 |
Research Abstract |
従来のシリコン放射線検出器では高抵抗の検出器用シリコンウェハーの中に高性能な信号読み出し回路を実装することは不可能であった。しかしSOI技術を用いれば読み出し集積回路と検出器が単一チップで一体化された高機能で高速、非常に薄い夢の検出器が実現できる。SOI検出器は蓄積性の放射線損傷に関しては厚い埋め込み酸化膜によってあまり強くないことが知られている。本研究では放射線耐性の向上と、放射線検出器実証試験の二本柱を目標に進めてきた。平成22年度~平成23年度の実績報告書において放射線耐性の向上の可能性を見出すことに成功し、計画を前倒しして実施した東北大学電子光理学研究センターの高エネルギー荷電粒子ビーム飛跡再構成試験では東北大、高エネ研、阪大、筑波大、総研大の共同実験グループを組織しSOIピクセル検出器初の飛跡再構成に成功した。しかしビームエレルギーが低いために多重散乱の影響が大きく、センサー部の固有位置分解能や検出効率を精度良く導くに至らなかった。 当該年度は欧州合同原子核研究機構の120GeVハドロンビームを用いて精密飛跡再構成実験を行った。積分型SOI検出器を4層配置しビームで串刺しにしデータを取得した。データからビーム飛跡再構成を行い、ピクセルサイズ17μm×17μmに対して固有位置分解能4μm以下、全層でS/N>20以上、検出効率95%を得た。結果を日本物理学会にて発表した。 また、本格的な高エネルギー素粒子実験用SOI検出器「PIXOR1」の開発も開始することができた。PIXORIはピクセルセンサーを二次元に敷き詰め、XY方向に信号をORするPIXOR構造をSuperpixelとし、敷き詰めることによって読み出し数を減らしつつ、高い固有位置分解能を持ち、ストリップ型検出器とピクセル検出器の長所を併せ持つ新型検出器である。この検出器のプロトタイプを製造し、機能試験の最初の結果を物理学会にて発表した。
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Research Products
(3 results)