2012 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ質量と素粒子的宇宙論の諸問題を説明する標準模型の拡張理論
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22740137
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
青木 真由美 金沢大学, 数物科学系, 助教 (70425601)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 素粒子論 |
Research Abstract |
ニュートリノはわずかながら質量を持っているが、素粒子の標準模型では、その質量起源を説明することができず、そのため標準模型の拡張が必要とされている。拡張方法の一つとして、量子効果によってループレベルでニュートリノ質量を生成する模型(輻射シーソー模型)が提案されている。輻射シーソー模型では、ツリーレベルでニュートリノ質量が生成されるのを避けるため、しばしば離散対称性が課せられる。この対称性は同時に、暗黒物質の安定性を保証し、離散対称性のもとで奇である最も軽い中性粒子が暗黒物質の候補となりうる。このような離散対称性の中で最もシンプルなものはZ2対称性であるが、もし模型が2つ以上のZ2対称性、あるいはZ4対称性のようなより大きな対称性を持つ場合には、それに伴い複数の暗黒物質候補が存在する。本研究では、このように暗黒物質が多成分である場合に注目し、その影響を議論した。 例として取り扱った模型は、E. Ma氏によって提案された輻射シーソー模型に、暗黒物質候補となりうる2つの新粒子を加え、新たなZ2離散対称性を課した模型である。この模型では、2種類あるいは3種類の暗黒物質が予言される。暗黒物質が2種類以上存在する場合には、暗黒物質成分が1種類の場合には起こりえなかった新しい対消滅過程が存在しうる。ボルツマン方程式を数値的に解くことによって、こうした新たな対消滅過程が、暗黒物質の残存量を大きく変えうることを示した。また、多成分暗黒物質の存在は、暗黒物質の直接検出の可能性にも影響を与えることがわかった。さらに、3種類の暗黒物質が存在する場合において、新しい対消滅過程によって放出されるニュートリノの検出可能性を議論し、それが多成分暗黒物質の大きなヒントを与えうることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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