2010 Fiscal Year Annual Research Report
格子量子色力学を用いたキャビボ・小林・益川行列要素の決定
Project/Area Number |
22740138
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
滑川 裕介 筑波大学, 計算科学研究センター, 研究員 (00377946)
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Keywords | 素粒子論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、格子量子色力学に基づく数値シミュレーションによるキャビボ・小林・益川行列要素の決定である。キャビボ・小林・益川行列要素は、素粒子標準理論の基本パラメータであり、行列要素値の決定は素粒子論的に意義深い。特に、行列要素の一成分である|Vcd|及び|Vcs|は実験的直接測定が難しく、理論的な決定が重要である。本研究では、格子量子色力学シミュレーションを使用した|Vcd|及び|Vcs|の高精度決定を目指す。 研究目的達成のため、本年度は、D及びDs中間子の純レプトン崩壊を用いた|Vcd|及び|Vcs|の決定を行った。具体的には、格子計算によりD及びDs中間子崩壊定数を非摂動論的に求め、実験的に測定されているD及びDs中間子の純レプトン崩壊幅のデータと組み合わせ、|Vcd|及び|Vcs|を引き出した。この計算の際、チャームクォークに対して相対論作用を適用する、作用中のパラメータ及び改良係数を部分的にではあるが非摂動論的に決定する等の工夫を施した。その結果、|Vcd|及び|Vcs|を誤差5%の精度で求める事ができ、ある程度研究目的を達成できた。 この成果を踏まえ、平成23年度に、D及びDs中間子のセミレプトン崩壊を用いた|Vcd|及び|Vcs|の決定を行う。この計算は、平成22年度に行った純レプトン崩壊を用いた|Vcd|及び|Vcs|計算と相補的である。両者を組み合わせ、さらなる精度向上を図る。
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