2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740140
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小池 正史 埼玉大学, 理工学研究科, 非常勤講師 (10447279)
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Keywords | ビッグバン元素合成 / 最小超対称標準模型 / 暗黒物質 / 始原リチウム欠損問題 |
Research Abstract |
本研究では,素粒子標準模型を拡張した模型のもとで初期宇宙における元素合成を考察した.宇宙観測で発見された暗黒物質の正体は素粒子標準模型で説明できず,拡張模型を考察する必然性がある.この際,観測された始原リチウム7の存在比が元素合成理論による予言の半分に満たない欠損を同時に説明することをめざす.具体的には最小超対称標準模型をとりあげ,*準安定な負荷電スタウが宇宙初期に原子核と相互作用し,始原軽元素の存在比を変える,*副産物の安定な中性ニュートラリーノが暗黒物質になる,とするシナリオを考察した. 本シナリオでは,負荷電スタウと原子核の相互作用を正確に評価する必要がある.本年度は,従来取り込まれていなかった次の過程を考察し,暗黒物質及びリチウム7の残存量評価を改良した:【1】負荷電スタウがレプトンフレーバー非保存(LFV)過程を経て崩壊する過程,【2】ヘリウム4原子核が負荷電スタウとの束縛状態を経て破砕される過程,である.【1】は未知のLFV過程の性質によるところが大きい.それを地上実験で探索する可能性の開拓を念頭に,LFVに関連する過程として「μ粒子原子における,原子軌道上のμ粒子と電子のLFV相互作用反応過程」を考え,近い将来わが国で探索できる可能性を報告した.【2】は,3種類の終状態を考えた;それぞれ陽子,重陽子および三重陽子を含む過程である.これら破砕過程の影響は無視できず,とくに重陽子および三重陽子の観測的残存量と矛盾しないよう制限をつける必要があることがわかった.解析の結果,前記の条件をみたし,かつ暗黒物質およびリチウム7の残存量をも説明しうるパラメータ領域があることがわかった.その許容領域は小さく,本シナリオは最小超対称標準模型の制限力が高いシナリオといえる.また,より拡張した超対称模型で本シナリオの可能性を広げることが今後の課題として浮かび上がってきた.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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