2011 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー宇宙線観測に用いるパターン認識トリガーシステムの開発
Project/Area Number |
22740146
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
清水 雄輝 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 有人宇宙環境利用ミッション本部, 宇宙航空プロジェクト研究員 (60434320)
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Keywords | 高エネルギー宇宙線 / 一次電子 / ガンマ線 / トリガーシステム |
Research Abstract |
前年度に引き続き、高エネルギー電子・ガンマ線の生成する電磁シャワーの特徴を捉え、バックグラウンドとなる陽子から効率よく弁別するためのトリガーシステムに関する研究を行った。本年度は主に、トリガー条件設定のためのシミュレーションの精度向上を目的とした検出器応答評価試験、加速器ビーム試験のための試作回路の製作・改良を実施し、宇宙線ミューオンによる試験やビーム試験の結果からシステムとしての評価を行った。 検出器応答の評価として、電磁シャワー検出に用いるPbWO_4(PWO)シンチレータの発光特性評価、読み出し用試作回路の応答特性評価を実施した。PWOシンチレータの試験では、トリガー閾値決定において重要となるエネルギーあたりの発光量及び均一性の評価を宇宙線ミューオン及びガンマ線源を用いて行い、改良型PWOにおいては従来品よりも優れた特性を持つことを確認した。また、試作回路の線形性、ノイズ評価を行い、前述のPWO発光量と合わせてシグナル-ノイズ比の評価を行った。 試作回路の改良として、前年度加速器ビーム試験のために製作した増幅器回路のノイズ低減、コンパレータ回路並びに論理回路の見直しを行った。 また、CERN-SPS加速器等による試作検出器の試験にて取得したデータを用い、試作トリガーシステムの評価を行った。前年度問題となった測定粒子数の不定性について、上述のシンチレータ発光量や回路ノイズ等の検出器応答をシミュレーション計算に取り入れることで改善され、実験データとシミュレーションからの予測値の間の差異を低減することができた。 本研究の成果を元に、国際宇宙ステーション搭載に向けて開発中の高エネルギー宇宙線観測装置CALETのトリガーシステムにおける最適なパラメータの提案を行う予定である。
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Research Products
(4 results)