2010 Fiscal Year Annual Research Report
スーパースピナーへの降着過程の数値的及び解析的研究
Project/Area Number |
22740147
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
BAMBI Cosimo 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (30534995)
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Keywords | 相対論 / 重力(理論) |
Research Abstract |
今年度の活動内容として、まず一般相対論的流体シミュレーションを行い、高速回転するコンパクト天体まわりの降着流を研究したことが挙げられる。その中で空間2次元および3次元の数値シミュレーションを行い、重力場駆動のアウトフローが生成されることを発見した(Bambi & Yoshida 2010a,b).角運動量が大きいコンパクト天体ほど降着効率が低下し、高速のアウトフローが生じやすい状態となる。外側に向かった流れは主に回転面付近に沿うが、力学的に非常に不安定な状態となることが判明した。さらに、降着流が初期に角運動量を持つ場合には、ガスの角運動量と中心天体の角運動量の向きの違いが降着効率に大きく影響する。このような高速回転天体まわりのアウトフローが実際に実現されるか明らかにするためには、高速回転天体の形成過程を調べなくてはならないと考えた。中心天体が四重極を持つような重力場を有する場合においては、ガス降着の際にその軌道角運動量を取り込んで、超臨界回転天体となり得ることを示した(Bambi arXiv:1101.1364 arXiv:1103.5135).天文観測からは、中心天体の角運動量と重力四重極成分を分離することは困難であるので、これらの量に対する制限を得る方法を提案した。それを実現するためには、活動銀河核の平均放射効率を推定すればよいという結論に至った(Bambi,arXiv:1102.616)。またx線観測による連続光フィット法を適用すれば平均放射効率を求めることができるということを示した(Bambi & Barausse 2011).以上が、今年度に実施した研究成果の概要である。
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