2010 Fiscal Year Annual Research Report
すばるHSC銀河サーベイおよびSDSS―?による原始非ガウシアン性の探求
Project/Area Number |
22740149
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 梓仁 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (90572892)
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Keywords | 素粒子論 / 宇宙線 / 宇宙物理 / 原子・分子物理 |
Research Abstract |
2010年度の研究の主な目的は原始非ガウス性を制限するための新しい宇宙論的指標を開発することであった。私は速度場において原始非ガウス性の兆候がどのように現れるかを調査した。具体的には共同研究者らとともに暗黒物質粒子の相対速度について研究した。私は原始非ガウス性の存在下での相対速度が線形レベルでどう変更を受けるか計算し,これが粒子間の変位ベクトルに対する平行成分と垂直成分の間の相関を生むことを発見した。次に、私はゼルドヴィッチ近似を用いて線形レベルの計算結果を真の相対速度分布に結びつける解析的モデルを開発した。私のモデルの予言と数値シミュレーションからの測定値を比較し、両者が非常に良く一致することを確認した。この研究により、現在進行中の大質量ハローの赤方偏移歪みと相対速度分布を用いて原始非ガウス性を調査する研究に必要な基礎が完成した。 その他に、私はボイドを用いて原始非ガウス性を調査する研究を行った。共同研究者に協力を仰ぎながら、excursion set法に基づき、より現実的なバリア関数と相関関数を用いることで、ボイドの数密度を計算するための理論モデルの開発を進めている。また、これと同時にSDSSの観測データからボイドについて解析を行っている研究者の協力を得て、数値シミュレーション上で原始非ガウス性の影響をボイドから見積もる研究を開始している。 加えて,私はIPMUの研究者らと大質量ハローの形状やその指向性が、原始非ガウス性を調査する際にどの程度有効かを調べるための新しい共同研究を開始した。我々はまず数値シミュレーションからこの効果を測定し、その後これを記述する解析的モデルを開発しようと計画している。
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