2011 Fiscal Year Annual Research Report
すばるHSC銀河サーベイおよびSDSS―IIIによる原始非ガウシアン性の探求
Project/Area Number |
22740149
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 梓仁 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (90572892)
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Keywords | 素粒子論 / 宇宙線 / 宇宙物理 / 原子・分子物理 |
Research Abstract |
2011年度の当初の目的は以下の3つの大スケールの現象に対して原始非ガウス性がどう影響するか調べることであった。 1.ビリアル平衡にある暗黒物質ハローの間の相対速度の分布 2.赤方偏移歪み 3.ハローの形状の分布 まず私はこれらに対する非ガウス性の痕跡がどの程度残っているかを見るために、数値シミュレーションから測定を行った。残念ながら初めの2つについては局所型の非ガウス揺らぎとガウス揺らぎの2つの初期条件から開始したシミュレーション(共同研究者の西道啓博氏による)の問の違いは高々1、2%程度にとどまった。暗黒物質ハローの相対速度分布と赤方偏移歪みの非ガウス性への感度が弱かったことを受け、この方向性での解析的モデルの開発は行わなかった。 私は香港の共同研究者らと暗黒物質ハローの形状分布に対する原始非ガウス性の影響について研究を進めている。N体シミュレーションからの測定を用いた初期の結果は、非ガウス性による相対的な変化は5%程度だった。我々は現在この兆候を捕らえるのに最適なハローの質量帯と重み付けの方法について模索中である。 暗黒物質ハローの間の相対速度と赤方偏移歪みへの原始非ガウス性の影響が小さく、SDSSやHSC等の観測からの検出が難しいことを受けて、私はこれらの観測がターゲットとする別の宇宙モデルについての研究を開始した。 私は分光観測からの速度分散の測定と測光観測からの弱重力レンズ効果を組み合わせて、どの程度修正重力模型を制限できるかを調査した。N体シミュレーションからの測定では10-20%程度の効果が見られたため、この位相空間の分布を計算する解析的モデルの構築の開発を行った。 私はほとんどの修正重力模型の中で採用されている遮蔽機構(カメレオン機構と呼ばれる)が大規模構造にどのような影響を与えるか調査した。また、エクスカージョンセット法を用いてカメレオン機構がハローの数密度にどう影響するかを研究した。
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