2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740150
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
道正 新一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (80392140)
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Keywords | 不安定核 / 質量測定 / 飛行時間法 / 磁気分析装置 / 魔法数 |
Research Abstract |
本研究は、飛行時間法を用いた不安定原子核の質量測定手法の確立、および開発手法を用いて、大強度重イオンビームの入射核破砕片または核分裂片に含まれる多種の不安定核の質量を系統的に測定する。広範囲にわたる測定を通して、特定の領域に発現すると考えられている魔法数生成・消滅現象を探索し、その発現メカニズムの統一的な理解を目指している。本研究ではとくに中性子過剰核<54>^Caを中心とした核領域を研究対象とする。この領域は新たな魔法数の生成が理論的に予言されている領域である。質量測定を通して魔法数発現の有無を確証し、中性子過剰酸素同位体で見られるN=16魔法数発現領域との比較から核物質における魔法数発現の普遍的なメカニズムの解明を目的としている。 平成23年度は飛行時間法において重要な時間測定用カウンターとしてダイヤモンド検出器の開発を、また実験装置のイオン光学のスタディを進めた。低エネルギーαビームによる3cm四方サイズの多結晶ダイヤモンド検出器への照射実験を行い、検出効率100%、時間分解能27ps(σ)が達成された。この結果については、ビームエネルギーの制限から照射位置依存性の考慮がされておらず、実際の実験でももっと良い時間分解能での測定が期待できる。これらの結果から、粒子を通過させるスタートタイミング検出器として最良の検出器であることが分かった。 また、RIBF実験施設SHARAQビームラインにおいて、質量既知のイオンビームの飛行経路と飛行時間測定に関するイオン光学スタディを行った。このデータにより、磁気分析装置の分解能やイオンビームの飛行経路・飛行時間の情報による飛行速度の決定精度が評価でき、本実験手法での質量分解能の評価が可能になる。取得データの解析は現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイヤモンドを用いたビームライン検出器の開発も進んでおり、目的の不安定核が生成できる機会に恵まれていないが、スタディができる機会を得られ、イオン光学に関するデータが取得できた。本年度は実験を行ない、データ取得を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のデータに基づく実験の最適化を行い、実験を実施する。
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Research Products
(4 results)