2011 Fiscal Year Annual Research Report
最高エネルギー宇宙線観測のための複眼広視野雲モニターの開発
Project/Area Number |
22740154
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
得能 久生 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特任助教 (50431771)
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Keywords | 最高エネルギー宇宙線 / 雲モニタ / 大気モニタ |
Research Abstract |
最高エネルギー宇宙線の起源は銀河系外にあると目されているが、現在のところ、その起源は特定されていない。最高エネルギー宇宙線の起源を解明するため、Telescope Array experimentでは、最高エネルギー宇宙線が生成する空気シャワー事象を観測している。空気シャワー事象の縦方向発達情報を得るため、大気蛍光望遠鏡を用いている。大気蛍光望遠鏡は空気シャワーから発せられた大気蛍光を20~30km離れた場所から測定している。そのため、望遠鏡と空気シャワーの間に雲があると、光がさえぎられるために精度のよい測定が行えない。したがって、雲の有無を正確にモニターする必要がある。 望遠鏡視野中の雲を正確に記録するため、平成23年度に2か所の望遠鏡施設に雲モニタを設置した。設置した雲モニタは安定稼働している。平成23年度に発生した問題は2つあった。1つ目は、氷点下20度を下回るような冬季環境では、雲モニタに用いたアクリル窓に着霜がみられた。そこで、ヒーターを増強した。2つ目は、画像取得にはLinuxPCの画像取得プログラムを使用しているが、長期間動作させていると動作が緩慢になることがみられた。そこで、安定動作のために、画像取得に特化した装置を新たに購入しPCと入れ替えた。また、取得画像を処理するプログラムの改良も同時に行った。これらの対処によって、99%の稼働効率を達成した。 平成24年度は新たに1か所のレーザー光射出施設に雲モニタを設置した。取得した画像から、雲の分布を特定するためのアルゴリズムの開発を行った。その結果、IRカメラを用いて取得した画像から得た雲の有無情報と92%の確率で一致することが分かった。残りの8%の不一致の原因は、遠雷の写りこみと、前述のアクリル窓への着霜であった。遠雷の影響を除去するようにアルゴリズムの改良を行っている。
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