2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22740160
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 健太郎 京都大学, 理学研究科, 助教 (30544928)
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Keywords | 素粒子論 / 超弦理論 / ゲージ・重力対応 / 加積分性 / シグマ模型 / 無限次元対称性 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、非相対論的な理論に双対な重力理論による記述の研究を進めることである。この研究目的のために、非相対論的共形場理論の重力双対と考えられているシュレディンガー時空における弦理論の可積分構造に関する研究計画を実行した。簡単のため、3次元のシュレディンガー時空を標的空間としてもつシグマ模型を考え、その古典的な可積分構造について議論した。このシュレディンガー時空はAdS空間の変形として解釈できるので、AdS空間の可積分構造の変形理論を考えることになる。我々は、AdS空間の場合に存在していた二つのヤンギアン対称性のうち半分だけが変形後も生き残り、もう片方のヤンギアン対称性はq-変形されたポアンカレ代数(のアフィン拡大)に変形されることを示した。また、シュレディンガー時空の場合のみに限らず、変形された3次元AdS空間と球面の場合にも古典可積分構造について議論した。この場合にもAdS空間の可積分構造の変形として理解でき、ヤンギアン対称性の半分は、変形後もそのまま生き残ることが示された。もう一方の対称性はq-変形されたsl(2)代数(量子群)で記述される。その後の研究で、この量子群の対称性は、無限次元の量子アフィン代数にまで拡張されることも示した。さらに、3次元の変形された球面の場合のみであるが、Wess-Zumino項を加えた場合への拡張も議論した。現在のところ、Wess-Zumino項を加えた後でもヤンギアン対称性が変形後も生き残ることまで示した。この項を加えた後の量子アフィン代数がどうなるかを調べることは今後の課題である。T-双対性で変形なしの理論と等価になるポイントでは量子アフィン代数はヤンギアン代数に縮退すると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、期待していたよりも多くの成果をあげることができたし、想定外の新しい結果を得ることもできた。具体的には、2011年度のみで論文を3本出版できた。現在投稿中の論文が3本ある。その内容に関しては、国際会議などでの招待講演で複数回の口頭発表をしたし、さらに2012年の夏にはゲージ・重力対応における可積分性に関する世界トップクラスの国際会議に招待講演を依頼されていることからも、その評価の高さが示されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題に関する研究は、計画以上に順調に進展しており、今後もこの調子で成果を上げ続けたいと思う。現在までの研究成果に基づき、すでに依頼されている招待講演を含め、様々な国際会議・国内研究会で発表の機会を得られると期待される。この研究発表の機会に国内外の多くの研究者と積極的な議論を重ねることにより、よりレベルの高い研究結果を追求するとともに、その成果を世界に発信していきたい。
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Research Products
(6 results)