2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740165
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 哲 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (90570672)
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Keywords | 弦理論 / 超対称性 / BPS状態 / AdS/CFT対応 / インターフェイスCFT |
Research Abstract |
弦理論をコンパクト化した理論において、その理論にある粒子のスペクトルを求める問題は、基本的で重要な問題である。特に4次元でN=2の超対称性を持つようにコンパクト化した理論でのBPS状態のスペクトルは、超対称性を用いたアプローチが可能であり、解ける可能性のある問題である。我々は昨年度conifoldと呼ばれるCalabi-Yau多様体でコンパクト化した場合のD4-D2-D0ブレーンの系を考察した。今年度は、双対性を用いて弦とD3ブレーンの数え上げの問題に焼き直した。これにより、モジュライ空間の幾何学的意味や壁越え現象の直感的描像を得ることができた。この描像はBPS状態の数え上げ問題を研究する上で非常に有用なものである。一方、曲がった時空の局所化による厳密計算については、SUSY完全な項を計算し、インスタントンがどこに存在するかを明らかにした。これは、この厳密計算のプログラムの重要な1ステップである。また、重力の量子論を理解するための非常に有用な道具であるAdS/CFT対応の研究も行った。今回は特に異なる2つの場の理論をつなぐインターフェイスと呼ばれる物体について、2種類の物理量を詳しく調べた。一つはこのインターフェイスと試験粒子の間のポテンシャルエネルギー、もう一つはカイラルプライマリー演算子の期待値である。これらの量をゲージ理論側と重力理論側で計算し、両者を比較した。その結果、ある極限において完全な一致を見た。これはAdS/CFT対応の非常に有力な証拠であり、重要な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BPS状態の数え上げ、AdS/CFT対応において順調に成果をあげている。また曲がった時空での超対称ゲージ理論の計算も1ステップ進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きインターフェイスCFTのAdS/CFT対応について他の物理量の対応を調べていく。またドポロジー的弦理論に関しても議論を進め、時空の構造について迫っていきたい。
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