2010 Fiscal Year Annual Research Report
K中間子稀崩壊測定のための電磁カロリメタ構築と中性ビームに対する性能評価
Project/Area Number |
22740166
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
外川 学 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50455359)
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Keywords | Kの物理 / CP非対称性 / 電磁カロリメタ |
Research Abstract |
本研究はCPを保存しないK中間子崩壊、特に直接CP非保存過程である、K_L^0->π^0vv崩壊を捉え、標準理論を超えた新しい物理を探る研究である。実験は、J-PARCの高強度陽子ビームを用い、現在、H23年度の物理データ収集スタートを目標として、検出器群を準備中である。実験中は、検出器群を真空槽内に入れる必要が有り、実験開始前に全ての検出器が万全である事や、測定におけるバックグラウンドの定量的理解が要求される。 本年度は、本実験の主検出器である、約2700本のCsIカロリメタの性能評価や、それらをJ-PARCに運び入れ、信号の読み出し部分を含めた建設を行った。 当実験で用いるCsIカロリメタは、米国フェルミ研究所で行われた、KTeV事件で使われていた物を借り入れ使用する。本実験で検出される光子は、KTeVの時よりも低いエネルギー領域で、その領域での性能評価は行われていない。我々は、CsIカロリメタ144本を用い、東北大学電子光理学研究センターにおいて、400~800MeVの陽電子ビームを照射し、その性能評価を行った。エネルギー分解能、時間分解能、共に、実験遂行に十分な性能である事を示しており、現在最終結果に向けてデータをまとめている。 その後、全ての結晶をJ-PARCに運び入れ、建設を行った。建設の途中ではあったが、10~11月にかけては、実際に中性ビームを打ち込み、K中間子からの崩壊粒子である、(陽)電子を使って、性能評価を行った。測定には、検出器上流に、電磁石とチェンバー群を置き、電子の運動量測定を可能とするセットアップで行い、そこで測定される運動量と、CsIカロリメタに起こすエネルギー損失を比べる事で行う。データは現在解析中である。 現在は、全2700本分の建設の最終段階であり、来年度4月に同じく中性ビームを用い、本実験と同じセットアップでの性能評価を行う予定である。
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Research Products
(1 results)