2010 Fiscal Year Annual Research Report
GeVガンマ線全天サーベイによる超新星残骸における宇宙線加速の系統的研究
Project/Area Number |
22740167
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
片桐 秀明 茨城大学, 理学部, 准教授 (50402764)
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Keywords | 宇宙線 / GeVガンマ線 / 超新星残骸 / フェルミ衛星 |
Research Abstract |
フェルミ衛星は、GeV領域の宇宙ガンマ線に対して過去最高感度、角度分解能を誇る望遠鏡である。ガンマ線は、高エネルギーの原子核(主に陽子)である宇宙線が星間物質と相互作用することによって放射されるため、宇宙線を研究する上で強力な手段となっている。フェルミ衛星は、2008年6月に打ち上げられて以来、1年間の観測によって、数個の超新星残骸(SNR)が宇宙線陽子の加速源であることを示唆する観測結果を出してきた。これらの天体の多くは分子雲と相関し、年齢が比較的古い。この事実は、宇宙線加速を行うSNRの共通する特徴を捉えている可能性がある。しかし、ガンマ線放射効率は分子雲の質量に比例するため、明るい天体のみでは観測的なバイアスがかかる。本研究はフェルミ衛星によるガンマ線測定を比較的暗めのSNRまで拡張し、SNRの年齢および分子雲の質量に対してSNRが加速した宇宙線総エネルギーとの相関を求めることが大目的である。平成22年度は、フェルミ衛星1年目カタログでSNRに空間相関が認められた比較的明るめの天体のうち、詳細解析が進んでおらずかつガンマ線で広がっていて空間分布の相関を調べやすいG8.7-0.1とCygnus Loopに焦点を絞って解析を進めた。分子雲との相関を調べた結果、G8.7-0.1は、これまでの中年SNRの観測と同じく分子雲との相関が確認された一方、Cygnus Loopは分子雲とガンマ線の相関していないという特異な性質が見つかった。また、ガンマ線のエネルギースペクトルと放射モデルの比較により、両天体共に宇宙線陽子が加速していることを示唆する結果も得られた。
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