2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウィルソンクォークを用いた現実クォーク質量でのQCD熱力学の研究
Project/Area Number |
22740168
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梅田 貴士 広島大学, 大学院・教育学研究科, 講師 (40451679)
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Keywords | 格子QCD / クォークグルーオンプラズマ / 状態方程式 |
Research Abstract |
この研究では、本研究代表者が中心となって開発した固定格子間隔アプローチにおける「温度積分法」を用いる事によって、高温・高密度のQCDで現れるクォーク・グルーオン・プラズマ状態の性質を格子QCDによって計算する。世界的に多く採用されている格子定式化のKS クォークよりも理論的な正当性が確保されたウィルソンクォークを用いて、QCDの熱力学量、特に状態方程式の計算を世界で初めて現実クォーク質量において行う事を目的とする。 (1)クエンチ近似での温度積分法による状態方程式のさらに詳細な研究を行った。そして同じゲージ配位を用いて、ポリヤコフループの感受率の期待値の温度変化から相転移温度の見積もりを行い、固定講師間隔におけるオーダーパラメーターの振る舞いを調べた。また、共同研究者によって静的クォークの自由エネルギーの計算が行われ、これらの計算をまとめて学術論文の準備を行っている。 (2)2+1 フレーバーQCDの試験的計算本研究はWHOT-QCD グループとの共同研究として行っている。グループで申請をしているKEK(高エネ研)の計算機を用いて配位の生成を行った。このゲージ配位生成には、CP/PACS/JLQCD グループによって行われた非摂動改良したウィルソンフェルミオンを用いた2+1 フレーバーQCDによるクォーク質量計算プロジェクトのパラメータを採用している。クォーク質量は比較的重いが、連続極限を取るために格子間隔3点での結果が存在する。3点の内もっとも細かい格子(beta=2.05)における有限温度配位において状態方程式を計算して国際会議などで発表した。また、次に細かい格子(beta=1.90)での配位生成をスタートさせた。
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Research Products
(12 results)