2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740170
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 訓裕 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (60532364)
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Keywords | 天体核物理 / ヘリウム燃焼 |
Research Abstract |
天体エネルギー近傍での炭素・ヘリウム融合反応12C+4He→160+γの断面積および天体S-factorの測定を九州大学タンデム加速器施設において行った。炭素ビームとヘリウムガス標的を用い、核融合反応で生成した酸素の数を検出器で測定した。去年度で反応エネルギーEcm=1.5MeVでの測定に成功したが、これより低いエネルギーで測定するためにはバックグラウンドを3桁以上減らす装置が必要である。その為、イオンチェンバーを使った放射線検出器を開発した。有感面積が広く、低エネルギーの重イオンを精度良く測定できると言う条件を満たす為、材質の選定や検出器の構造に様々な工夫を行い製作した。 その後、バックグラウンド除去性能の確認のためビームを用いた実験を行った。実験期間は10日でおよそ、30個の160を測定した。バックグラウンドをこれまでの10-16から10-19以下の桁まで除去出来ることが確認された。これにより次年度以降に実施予定のEcm=1.15MeV以下での測定準備が整った。 また、その他の開発については以下の事を行った。 1.加速減速法によるビーム量増大のための準備 Ecm=1.15MeV以下の測定ではビーム量が現在の10倍以上必要になる。その為にはビームの透過効率を上げるために加速減速法という手法を用いることを計画している。それにはタンデム加速器を改造する必要があるが、今年度はその前準備として加速管のアライメントを行った。これによって、加速減速法を使わずに透過効率が最大となるようになった。また、加速減速法を用いた際のビーム軌道のシミュレーションも行い、透過効率を最適化する電場勾配を求めた。 2.ガス循環系の開発 最終目標の0.7MeV実験では約1ヶ月の測定が必要であるが、標的であるヘリウムガスはボンベから供給され、使われた後は真空ポンプで排気され捨てられる。これは非常に不経済であるため、ポンプで排気されたヘリウムを洗浄し、再び標的として用いるガス循環系を製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終目標は天体エネルギー近傍の0.7MeVでの測定であり、現在は1.5MeVまでのエネルギーで測定に成功している。この後、1.15,1.0,0.8MeVで測定を行っていく予定であるが、問題となっていたバックグラウンド除去や標的の厚さについてはこれまでの開発で解決された為、後は計画通りに測定を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより低いエネルギーで測定を行うため、反応確率が減少する。その為、ビーム量を増大させることが重要である。この為の加速減速法というタンデム加速器の改良方法は既に実証されており、今後はそれの実装を進めていく予定である。 そして、重心エネルギー0.7MeVでの測定に向かって、低いエネルギーでの測定を順番に進めていく。
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Research Products
(4 results)