2011 Fiscal Year Annual Research Report
重いハドロンの分光学と未知なるチャーム/ボトム原子核の探索
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22740174
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
須藤 和敬 二松學舍大學, 国際政治経済学部, 専任講師 (40360573)
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Keywords | 原子核理論 / ハドロン物理 / チャームクォーク / エキゾチックハドロン |
Research Abstract |
チャームクォークやボトムクォークなどの重いクオークを含む中間子(D中間子・B中間子)同士の束縛状態の存在可能性を議論した。 重いクォーク対称性を尊重した相互作用を用い、π,ρ,ω中間子交換による束縛エネルギー・共鳴幅を理論計算により求めた。 本研究は、量子色力学とエキゾチックハドロンの力学を結び付ける上で、極めて重要である。 1.初めに、重いクォークを2つ含み、フレーバー自由度が0の系(C=0,B=0)について調べた。 具体的には、D中間子と反D中間子、あるいはB中間子と反B中間子の束縛エネルギーを計算したところ、いくつかの量子数で束縛解が存在し、かつ多くの共鳴状態が存在する可能性を示すことができた。近年、発見され注目されているZ+(4430)などは、エキゾチック中間子であるテトラクォークではないかという議論がなされているが、我々の予言値とエラーバーの範囲内で一致した。 平成23年11月に論文を執筆し、現在ジャーナルに投稿、査読中である。 2.まず重いクォークのフレーバー自由度を2つ持つ系(C=2,B=2)について調べた。 上記とは異なる状態である、DD中間子あるいはBB中間子の束縛エネルギーを計算したところ、これらの粒子についても、複数の束縛解・共鳴状態の存在可能性を示唆することができた。 平成24年2月に論文を執筆し、現在ジャーナルに投稿、査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通りに進んでいる。 ジャーナルへ投稿した論文(2本)の査読が遅れていることから、今年度中に発行する予定が少しずれこんでいるが、すでに再投稿を済ませており、特に問題はないと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
D中間子やB中間子の核媒質中での振る舞いを調べる予定である。ハイパー核と呼ばれるストレンジクォークを含んだ系の媒質効果と、重いクォークを含む系の媒質効果の相違を議論することにより、ハドロン間相互作用に理解に努めたい。特に、重いクォークを含む系では、第一原理である量子色力学に比較的近い有効理論が存在するので、本研究をもとに量子色力学の理解にも役立つと考えられる。
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