2010 Fiscal Year Annual Research Report
流体・重力双対性を用いたブラックホールダイナミクスの研究
Project/Area Number |
22740176
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
宮本 雲平 立教大学, 理学部, PD (70386621)
|
Keywords | 高次元ブラックホール / 流体・重力対応 / 相対論的流体力学 / Gregory-Laflamme不安定性 / Rayleigh-Plateau不安定性 |
Research Abstract |
本年度は主に、Gregory-Laflamme不安定性の流体双対であるRayleigh-Plateau不安定性のダイナミクスを調べる為、自由表面を持つ粘性流の近似法について研究した。先行研究としてEggers-Dupont(1994年)によって、4次元の非相対論的非圧縮性流体の軸対称流を1+1次元の偏微分方程式系に還元する方法が確立されていた。まず私は、彼らの方法を任意次元に一般化し、論文としてまとめた。また、R.Emparan教授(Barcelona大)、J.Camps博士(Durham大)、N.Hadda氏(Barcelona大)と共同で、Eggers-Dupontの方法を非相対論的圧縮性流体と相対論的圧縮性流体へ拡張した。これら共同研究の成果は現在、論文発表に向けて準備を進めている最中である。 本研究の目的の一つである、Gregory-Laflamme不安定性の最終状態の解明には、Rayleigh-Plateau不安定性の非線形ダイナミクスを効果的に調べる方法が必要とされる。本研究で得られた1+1次元型の偏微分方程式系は、非常に単純な構造を持ち、数値解析が容易である。更に、自己相似性など期待される対称性を課せば、この偏微分方程式系は一つの常微分方程式に還元することも可能であり、解析的手法でRayleigh-Pltateau不安定の最終状態に関する情報を得ることも可能にする。この意味で本研究の成果は非常に意義深く、重要である。 Gregory-Laflamme不安定性について知るには、適当な状態方程式や粘性係数を用いて、得られた流体方程式を更に詳しく解析する必要があるが、それに関する準備は順調に進んでおり、数ヶ月中にGregory-Laflamme不安定性の最終状態に対して、何かしら有益な結果が得られると考えている。
|