2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740178
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木内 建太 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (40514196)
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Keywords | 宇宙物理 / 重力波 / 一般相対性理論 |
Research Abstract |
本申請課題の目的は、連星中性子星合体の様相を明らかにし、ショートガンマ線バースト中心動力源との関係性を精査することである。具体的には、数値相対論的シミュレーションを実行し、放出重力波、ニュートリノ、最終的に出来るブラックホール降着円盤の質量等を定量的に見積もった。平成23年度には、特に(1)微視的物理過程を取り入れた連星中性子星合体シミュレーション、(2)ブラックホール降着円盤系における非軸対称不安定性と重力波、(3)磁場中性子星の発展の三点に関して研究を推し進めた。(1)では、原子核理論に基づく核密度状態方程式とニュートリノ漏れ出し法に基づくニュートリノ冷却を取り入れた数値相対論シミュレーションを世界で初めて実行した。尚、申請者は関連する論文で第2執筆者となっているが、計算コードの高速化、シミュレーションの実行、データ解析など主たる部分を担当した。これらの結果をまとめた論文はPhysical Review Lettersに2遍掲載された。(2)に関しては、ブラックホールと降着円盤が形成された後に、Papaloizou-Pringle不安定性と呼ばれる非軸対称不安定性が現れ、結果この系は重力波の有望な源となる事を示した。仮に、ガンマ線バーストの中心動力源がブラックホールと降着円盤であるならば、ガンマ線バーストと重力波を同時に観測することでこの仮説を検証できる。バレンシア大学とマックスプランク研究所の研究者と共同研究ですすめられたこの研究はPhysical Review Lettersに掲載されている。(3)に関しては、磁場を伴った中性子星がどのように発展するかをシミュレーションで調べた。トロイダル磁場が卓越している場合にはパーカー不安定性が現れ、ダイポール磁場が卓越している場合には、磁気駆動型アウトフローが現れる事が分かった。この結果は、連星中性子星合体の後に形成される重い中性子星や強磁場中性子星の形成過程などに応用可能である。
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Research Products
(13 results)