2011 Fiscal Year Annual Research Report
Λ(1405)粒子精密分光のための液体重水素標的の開発
Project/Area Number |
22740188
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
飯尾 雅実 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 研究員 (00469892)
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Keywords | 原子核(実験) / 低温標的 |
Research Abstract |
A粒子の第一励起状態であるA(1405)は、負パリティのバリオンの中で最も軽く、その質量が単純なクォークモデルで説明できないことから、更なる実験によるデータの収集が必要である。そこで、d(K,n)反応を利用したハドロン反応での^(1405)分光をJ-PARCで計画し、その実験のための液体重水素標的の開発研究と実機製作を本予算により推進している。 本標的の特徴として、円筒型粒子検出器群の中心に標的容器を配置するため、冷却部と標的容器を切り離したL型の構造にし、標的容器への熱流入を液体重水素自身の対流により、約1.3m離れた冷凍機で吸収することで低温状態を維持するものである。2010年度に装置の主要部分である、重水素用熱交換器、放射シールドボックス、断熱真空容器等の設計と製作を行った。2011年度は、それらを組立て、真空度、温度、圧力のモニタリングシステムを構築し、冷却テストを行った。開発を段階的に進めるために、まずはL型の縦の部分のみで、冷却テストを行った。真空容器や配管、テスト用のターゲットセルのリークなどに付随するトラブルもあったが、最終的に熱交換器を20.8Kまで冷却でき、重水素の代わりに、少量の水素を液化させ、その温度を±0.2Kの安定度で16時間の保持に成功した。本標的では、熱負荷が1.5Wの場合、コールドヘッドを4.2Kまで冷却できるGM冷凍機を用いているが、テストの結果、熱交換器を20Kに保つために、ヒータでの15W程度の熱が必要だった。これは、装置全体の熱流入量を低く抑えることが出来たということであり、L型の横部分を取りつけたとしても、冷却能力には十分な余力があることがわかり、標的装置の完成への目途が立った。
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