2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740191
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
泉田 渉 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20372287)
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Keywords | メゾスコピック系 |
Research Abstract |
ナノチューブにおいて、電子がどのようなスピン状態をとり、またスピンにどのような相互作用が働くのか、その結果、スピンがどのように運動し緩和するのか、といった問題を理論的に明らかにすることが、本研究の目的である。本年度は主に、カーボンナノチューブおよび関連物質におけるスピン状態、および緩和の主な要因となる振動(フォノン)について研究を行った。具体的には、カーボンナノチューブにおけるスピン軌道相互作用の効果を、チューブの曲率、電場、磁場を考慮に入れて解析した。また、実際のスピン緩和測定の際によく用いられている直列量子ドット列の伝導特性を調べた。スピン状態によって様々なスピンプロッケード現象が現れることを明らかにし、実験との直接的な対比を可能にした。この結果は、スピンブロッケードを用いたスピン緩和測定の際に、スピンブロッケード領域を同定する指針となり得る。さらには、半導体チューブ構造に対し、低エネルギー領域において主要な振動モードを理論的に解析した。低エネルギー領域においては曲率の増大が一方向の振動モードのみを主要モードとしていく様子が明らかとなった。この計算により実際の実験結果との直接比較が可能となった。スピンは振動モードと結合することによりコヒーレンスが失われると考えられる。よって、振動モードの解析は、コヒーレンスに影響を与える振動がどのようなモードからなるのかを考える際の指標となり得る。
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Research Products
(11 results)