2011 Fiscal Year Annual Research Report
局在光電場中の単一カーボンナノチューブ電子状態の解明とその制御
Project/Area Number |
22740195
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
毛利 真一郎 京都大学, エネルギー理工学研究所, 研究員 (60516037)
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Keywords | カーボンナノチューブ / ナノ構造 |
Research Abstract |
本研究では、ナノ構造表面に局在する電磁場モードを用いてカーボンナノチューブの電子状態制御を目指している。本年度は、ナノプラズモニクスの手法との融合により9、ナノギャップやナノ粒子近傍でのナノチューブの光学的性質を調べることを計画していた。しかし、他グループの先行研究の結果から、通常のカーボンナノチューブでは、表面プラズモン共鳴による発光増大は観測されるものの、発光エネルギーの制御などを行うことは容易でないことが示唆された。一方、分子ドーピングにより、ホールドープや酸素ドープしたカーボンナノチューブでは、荷電励起子発光や局在励起子発光などの興味深い現象が観測されている。この系では、電荷バランスが崩れでおり、より容易に局在電場に対する応答が期待される。そこで、このホールドープしたナノチューブへターゲットを変更し、その基礎的な光学特性を調べた。まず、ホールドープしたカーボンナノチューブにおいて、吸収スペクトルの詳細な解析を行い、他の半導体に比べキャリアー励起子散乱が抑えられていることを明らかにした。また、電場印加により、抑制されていた励起子ピークが増大することも見出した。この他に、一連の研究に使用しているPFO分散単層カーボンナノチューブにおいて発光量子効率が制限される要因が、その長さにあることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属変更に伴い、実験手法、ターゲットに関して若干の変更を余儀なくされた。また、最近、荷電励起子や局在励起子による興味深い光学応答が報告されている分子ドープしたナノチューブでは、電荷バランスが崩れており、電場に対してより敏感な応答を示すことが期待される。そこで、本研究の計画達成へ向け、この分子ドーブナノチューブも対象に含めることが望ましいと判断し、その基礎的な光学特性についての研究も行ったため、当初計画に比べて若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
他のグループの先行研究から、通常のカーボンナノチューブのみをターゲットにした研究では、局在光電場による光物性の大きな変調は難しいごとが予想される。そこで、今後、本年度基礎的性質を調べてきた分子ドープ系ナノチューブを主なターゲットとし、ナノプラズモニクスなどの手法を用いて発生させた局在電磁場モードによって、局在モゾドとナノチューブの相互作用機構の解明とその制御を試みる。
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