2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体超格子におけるテラヘルツ領域コヒーレント現象に対する共鳴結合効果
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22740203
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
長谷川 尊之 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助教 (00533184)
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Keywords | ブロッホ振動 / 量子ビート / テラヘルツ / コヒーレント現象 / 超高速分光 / 半導体超格子 |
Research Abstract |
本研究では、半導体超格子のテラヘルツ領域コヒーレント現象(プロッホ振動と励起子量子ビート)を対象として、電子波束振動の外部電場制御の観点から、超格子特有の波動関数共鳴結合効果を包括的に解明することを目的とした。1.励起子量子ビートの共鳴結合効果:前年度に引き続き、単一量子井戸が埋め込まれた超格子における量子ビートダイナミクスの共鳴結合効果を調べた。量子ビートの減衰時間は、共鳴結合条件で著しく減少する特性が観測される。励起条件についての系統的な実験から、この特性は単一量子井戸層に局在していた波動関数が、超格子層の電子状態との共鳴結合によって非局在化したことに起因すると結論付けた。2.プロッホ振動の共鳴結合効果:プロッホ振動を対象とし、これまで着目されてこなかった重い正孔-軽い正孔状態間の共鳴結合効果について調べた。プロッホ振動の振動数は通常ν_<BO>=eFD/h(F:電場強度,D:超格子周期)であるが、正孔状態間の共鳴結合条件では、この特性から逸脱して2つの振動モードが出現することを見出した。また、電子状態間の共鳴条件で観測される減衰時間の顕著な減少は生じないことが分かった。3.Franz-Keldysh(FK)振動領域での新規量子ビートの発見:FK振動が出現する弱電場領域において、新しい電場制御性を有した量子ビートが生じることを見出した。具体的には、5本の振動モードが出現し、かつ、振動数が電場強度依存性を示すものである。4.ミニバンド励起子量子ビートの振動数シフト:ミニバンド幅が広い超格子において、量子ビートの振動数が電場でシフトする特性が観測された。実験および理論計算結果から、この特性は電場によるミニバンド幅の収縮現象に起因すると結論付けた。
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