2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740204
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
山本 勇 佐賀大学, シンクロトロン光応用研究センター, 助教 (80528993)
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Keywords | 有機磁性体 / 光電子分光 / 時間分解測定 / 磁気円二色性 |
Research Abstract |
本年度は有機磁性体薄膜のスピンダイナミクス研究への展開を目指し、昨年度に組み上げた2光子光電子分光および2光子光電子円二色性測定システムの遅延光学系の整備を行い、フェムト秒時間分解測定システムを構築した。これにより約200fs程度の時間分解能でポンプ-プローブ法による時間分解測定が可能となった。ポンプ-プローブ実験では、Ti:Sapphireレーザー(COHERENT社製Chameleon UltraII)の基本波(680-1080nm:1.15-1.82eV),第二高調波(340-540nm:2.30-3.64eV)と第三高調波(227-340nm:2.30-5.40eV)の組み合わせで行うことができる。また、本年度、購入した偏光子と自動回転ステージによってポンプ光とプローブ光の偏光をそれぞれ直線および左右円偏光に切り替えることができ、様々な励起・緩和過程を実時間で追跡することが可能となった。 このシステムを用いて金属基板上に有機磁性体であるマンガンフタロシアニン(MnPc)の薄膜を作製し、2光子光電子分光測定を行った。しかし、表面鏡像準位は観測できたものの、MnPc分子由来の電子状態は確認できなかった。観測した表面鏡像準位のバンド分散から、MnPc分子は表面平行方向にはランダムに並んでいることが示唆され、より高度に薄膜構造を制御する方法を検討している。一方で、グラファイト基板上ではMnPc分子由来の複数の励起状態を確認できていることから、引き続きスピンダイナミクスを検討する価値があり、今後さらに実験環境を整備し研究を進めていく。
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Research Products
(14 results)