2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
望月 維人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任講師 (80450419)
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Keywords | 磁性強誘電体 / マルチフェロイックス / ドメインウォール / 非線形ダイナミクス |
Research Abstract |
磁性強誘電体のマルチフェロイックドメインウォールが示す「非線形応答」や「非平衡ダイナミクス」を調べるために、マルチフェロイック希土類Mnペロフスカイトを対象物質に選び、その微視的スピン模型の構築から研究をスタートさせた。フラストレーション系であるマルチフェロイックスにおける多種の相互作用や磁気異方性の競合を正確に記述するモデルを構築し、モンテカルロ計算による解析を行った結果、世界で初めてこの系の電気磁気相図を完全に再現・理解することに成功した。次に、この系の外場に対する電気・磁気交差応答を調べるために、磁場中相図と磁場印加による誘電転移を調べ、実験で得られている相図や強誘電分極の振舞いを世界で初めて完全に再現した。さらに、長年の謎であった光の振動電場成分が誘起するマグノン(エレクトロマグノン)励起の機構や偏光選択則、光吸収スペクトルを完全に解明した。以上の予備的な研究を踏まえ、エレクトロマグノンの強励起によるスピンカイラリティの光スイッチ現象の理論研究に取り組んだ。この光照射によるスピンカイラリティの反転・プロップ過程において、カイラリティドメインの動的ストライプという特異な空間構造形成が重要な役割を果たしていることを見出した。このようなドメインやドメインウォールは、共鳴励起を利用したスイッチング現象や相転移現象に普遍的に現れると考えられ、近年大きな注目を集めている光による相制御の基礎学理の構築や予言の出発点となる知見である。以上の研究結果をPhysical Review Letters誌4編と固体物理や日本物理学会誌の解説記事として発表した。また、日本物理学会とアメリカ物理学会における招待講演をはじめ多くの学会講演を行った。
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Research Products
(16 results)