2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
望月 維人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任講師 (80450419)
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Keywords | 磁性強誘電体 / マルチフェロイックス / ドメインウォール / 非線形ダイナミクス |
Research Abstract |
新しいクラスの強誘電体におけるドメイン壁の巨大かつ高速な外場応答を利用した記憶素子開発のために、その構造とダイナミクス、励起・応答現象や動的相転移現象を解明し、基礎理論を構築を目指した。まず前年度からの継続したテーマとして、磁性強誘電体(マルチフェロイックス)における、電気磁気応答(エレクトロマグノン励起)とその強励起を通じたスピンカイラリティの光スイッチの研究をさらに推し進め、多数の論文発表(PRL2,PRB1,他)と学会講演を行った。また、本年度から取り組んだ新しいテーマである、スキルミオンと呼ばれる長周期渦状スピンテクスチャーの外場応答ダイナミクスの研究において大きな成果を挙げた。具体的には、研究の出発点となる、カイラル磁性体中を記述するスピンモデルを構築し、それを解析するための古典モンテカルロ計算用プログラムコードと、スピンの時間発展方程式であるLandau-Lifshitz-Gilbert方程式の数値解析プログラムコードを開発・完成させた。これらのプログラムコードを使い、実験観測されているヘリカル相、スキルミオン結晶相、強磁性相と磁場下での相転移を記述・再現できることを確認した。その後、これらの新しい相におけるマイクロ波誘起スピン波励起のスペクトルとモードを明らかにした。特に、薄膜資料においてマイクロ波の振動磁場を二次元面内に偏光させた時に励起される二種類の回転モードの励起が顕著な円偏光依存性を持つことを見出し、左円偏光のマイクロ波照射によって低エネルギーモードを強励起した時に、スキルミオン結晶の融解が起こることを明らかにした。これらの結果をPhysical Review Letters誌に発表し、日本物理学会で口頭講演を行った。発表した論文は大きな反響を呼び、スキルミオン研究で大きな成果を挙げているミュンヘン工科大学のC.Pfleiderer教授や、Max-Planck研究所(Stuttgart)のB.Keimer教授に招待され、これらの大学や研究所に滞在し、セミナー講演や研究者との議論を行った。
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Research Products
(12 results)