2012 Fiscal Year Annual Research Report
物質の低エネルギー有効模型の第一原理導出とこれを用いた実証研究
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22740215
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 和磨 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60525236)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 物性理論 / 第一原理計算 / 第一原理有効模型 |
Research Abstract |
第一原理乱雑位相近似計算に基づく光学スペクトル計算プログラムを作成した。低次元金属のスペクトルに対応可能なコードを作成した。低次元系金属では、低エネルギー領域 (1eV以下) において、プラズモン励起が低エネルギー素励起過程として出現することが実験的に知られている。この素励起のエネルギースケールは、バンド幅 (~1eV) に比べて小さいので、基底状態物性に大きく影響することが期待される。作成コードを用いて、代表的な有機化合物・擬一次元金属 (TMTSF)2PF6 の反射率を計算したところ、電場偏光をa軸に取った場合のプラズマ周波数は 1 eV、ab 面内でかつ a 軸に垂直な場合は 0.2 eVであり、実験を再現することが分かった。 近年、角度分解光電子分光技術の進展に伴い、様々な物質の低エネルギー電子構造の詳細が測定可能となっている。実験スペクトルは、低エネルギー素励起に起因する自己エネルギー補正を含む準粒子スペクトルであるが、慣習的密度汎関数バンド計算は、静的近似に基づくので、動的効果を考慮できていない。ここでは動的効果を考慮した第一原理GW計算コードの開発を行い、(TMTSF)2PF6の計算に適用した。1. で述べたように、この物質では、低エネルギー集団電荷励起が存在するが、これの電子構造への効果を作成コードを用いて調べたところ、(i) 占有/非占有バンドの約 0.5 eV下/上に、プラズモン励起に由来する新たな状態が出現すること、(ii) X-M線に沿った電子占有領域において特に大きな電子散乱が生じていること、が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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