2010 Fiscal Year Annual Research Report
圧力・磁場誘起秩序相を示す重い電子系イッテルビウム化合物の物性研究
Project/Area Number |
22740217
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松林 和幸 東京大学, 物性研究所, 助教 (10451890)
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Keywords | 量子臨界点 / 圧力 / 磁場 |
Research Abstract |
重い電子系化合物において圧力や磁場によってコントロールされる非磁性-磁性転移近傍では、超伝導を含む数多くの興味深い物性が見出されている。本研究では重い電子系イッテルビウム化合物に焦点を絞り、外場によって誘起される秩序相の形成と磁気的および価数ゆらぎの関係性を明らかにすることを目指した研究を行った。上記の目的を達成するための実験手法として、圧力と磁場を複合的に組み合わせた環境下での物性測定技術(特にこれまで例のない高精度の高圧下・磁場中比熱測定装置)の開発を行った。従来の断熱法による高圧下比熱測定を磁場中測定へと拡張しようとした場合の問題点としては、銅ベリリウム製の圧力セルによる核比熱が大きなバックグラウンドとして寄与することであった。そこで核比熱の寄与が小さく、圧力セルの材料としても十分な強度がある銀-パラジウム合金に着目し、圧力セルと測定装置の開発に取り組んだ。その結果、本研究の対象物質であるYbCo_2Zn_<20>の圧力誘起磁気秩序を観測するのに十分な実験精度の構築に成功した。現在は開発に成功したセルを用いて、希釈冷凍機温度までの高圧下・磁場中比熱測定に継続して取り組んでいる。 また、新たに研究を開始した物質系として、YbNi_3Al_9およびYbNi_3Ga_9の純良単結晶試料における高圧下物性測定を行った。前者においてはその磁気転移温度が加圧によって減少するというイッテルビウム系では例の少ない現象を、後者では圧力誘起磁気秩序相を新たに見いだした。今後は磁気臨界点近傍における超伝導発現の可能性も含めて、より低温域における精密物性測定を行う。
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Research Products
(11 results)