2011 Fiscal Year Annual Research Report
フライホイール電源を用いたパルス強磁場下における比熱測定の開発
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22740218
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 晃弘 東京大学, 物性研究所, 助教 (00572819)
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Keywords | 物性実験 / 強相関電子系 / 低温物性 |
Research Abstract |
本研究ではフライホイール発電機を用いた測定を主眼としているが、昨年の東日本大震災の影響により、電力を大量に消費するこの発電機の使用は大幅に制限されているのが現状である。そのため、フライホイール発電機用のマグネット開発・製作も当初の予定より大幅に遅れが生じている。従って、申請当初の目標を達成することは非常に困難な状況であると言わざるを得ない。 一・方で、比熱測定用のクライオスタット作製はおおよその目処がついており、本年度の前半までにはゼロ磁場においてクライオスタットの評価を行うことができる。比熱測定は交流法により行う。パルス磁場下での交流法による比熱測定では、試料に与える交流電流の周波数をどの程度にするかが非常に重要となる。フライホイール発電機を用いた場合、パルス幅は最低でも数百ミリ秒程度になると推測されるので、交流電流の周波数は1kHz程度が最適となるように調節すればよい。昨年度に作製した試作のクライオスタットでは、この周波数領域での測定がかろうじて可能であったので、近々作製予定の新しいクライオスタットでより安定した測定が行えるようにすることが当面の目標である。フライホイール発電機用のマグネットは、全ての行程が順調に進めば年内に作製される予定である。従って、マグネットが完成次第比熱測定を行いたい。交流法は絶縁体の方が金属より測定が容易であるため、まずは近藤半導体として知られるYbB_<12>の測定を行う。YbB_<12>はヘリウム4温度領域において約50Tで金属-絶縁体転移を起こす。磁化の大きさが転移後に大きく増加することから、比熱測定においてもこの転移による異常が観測できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年3月に起こった東日本大震災の影響により、本研究の要であるフライホイール発電機の使用が大幅に制限されることとなった。これに伴い、フライホイール発電機を用いたパルスマグネットの開発も大幅に遅れているのが現状である。本年度も引き続き電力規制は行われると予想され、研究目的の達成は難しい状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
11.において述べたように、現状では本研究の要であるフライホイール発電機の使用は今年度も大幅に制限される見込みである。今後の方針としては、フライホイール発電機がある程度使用可能になった際に、すぐに測定が行える状態まで準備を入念に行うことに尽きる。電力需要が高まる夏季と冬季に規制が実施される見通しであることから、実際に測定が可能な時期は秋のみであると予想される。したがって、それまでの期間はコンデンサーバンクを用いて試験的な測定を行っていく予定である。
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Research Products
(4 results)