2012 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導体の擬ギャップ状態における折りたたまれたフェルミ面の観測
Project/Area Number |
22740221
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 鉄平 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10376600)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 高温超伝導体 / 角度分解光電子分光 / 擬ギャップ |
Research Abstract |
高温超伝導体における擬ギャップの起源は未解決の問題である。アンダードープ領域では、低温においてエネルギーギャップの方向依存性が単純なd-波からずれており、超伝導と競合する秩序状態であることが示唆されている。理論の多くは、(pi/2,pi/2)の周りに折りたたまれた小さなホール的フェルミ面を予言している。しかし、角度分解光電子分光(ARPES)で観測されているのは「途切れている」フェルミ面である。また、ホール係数の異常は折りたたまれた小さなフェルミ面と関連している可能性が指摘されている。小さなフェルミ面の存在を検証することは、高温超伝導体の基底状態を決定する根本的な問題である。高分解能ARPESによる精密測定により、小さなフェルミ面を検出し、擬ギャップ、輸送現象の異常の解明を目指す。 昨年度までの研究ではARPESをもちいて最適ドープ領域のLa2-xSrxCuO4 (LSCO)の超伝導ギャップと擬ギャップに対応する2つの異なる性質のギャップが共存を示した。また3枚のCuO2面をもち、高いTc(110 K)を示すBi2223ではフェルミ・アークの構造を調べLSCOの結果と合わせてTcを決定する重要な秩序パラメータを見出だした。 当該年度は、擬ギャップの本質に迫るために、電子ドープ系銅酸化物Pr1.3-xLa0.7CexCuO4(PLCCO)の擬ギャップ構造の研究を行った。ARPESにより電子構造を観測したところ、アニールされた最適組成(Tc=27K)の試料は電子ドープ系に特徴的な、ホットスポット、擬ギャップが消失しており、フェルミ液体的な準粒子構造が観測された。擬ギャップがまったく存在しない一方、Tcが上昇していることから電子ドープ系においても擬ギャップと超伝導は競合していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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