2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740222
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大成 誠一郎 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80402535)
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Keywords | 超伝導 / 輸送現象 |
Research Abstract |
超伝導ギャップ関数の位相に敏感な物理量であるトンネルスペクトロスコピーを計算した。 具体的には簡単な2バンドモデルと第一原理計算から得られた5軌道モデルを用いた。 トンネルスペクトロスコピーの計算を行う際には鉄ニクタイド系化合物超伝導体と常伝導体との接合系におけるコンダクタンスを求める必要がある。接合系の計算において、T行列を用いてバルクの系に無限大のポテンシャル層を数層挿入することにより超伝導体を切断し、半無限系のグリーン関数を得た。そして、それを半無限系の常伝導金属と、リカーシブグリーン関数の手法を用いて接合し、超伝導/常伝導の接合面におけるグリーン関数を得た。そして、久保公式を利用することにより、接合面の状態密度やコンダクタンスが計算する。また、T行列を用いて系を切断する際に[100]面や[110]面など自由に切断する面を変えることが可能である。結果として2バンドモデルにおいて、バンド間で符号反転するS+-波を用いると[110]方向でギャップ内に束縛状態が生じることが分かった。これは銅酸化物等で現れるd波によって起こるゼロエネルギーの束縛状態ではなく、有限エネルギーに束縛状態が現れるという特殊なものである。一方で5軌道モデルにおいては計算精度を確保することが難しく、明確な束縛状態を確認することは出来なかった。 次に、中性子散乱実験で見られるようなピーク構造がS+-波と符号反転しないS++波のどちらで再現できるかどうかを調べるために、5軌道モデルにRPAを用いて計算を行った。結果として、S+-波の場合はレゾナンスピークが現れ実験のピークよりも鋭くなりすぎ手しまうことが分かった。一方でS++波の場合は実験で観測されるようななだらかなピーク構造を再現することが出来た。
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Research Products
(9 results)