2010 Fiscal Year Annual Research Report
高性能強磁性トンネルバリアの開発とトンネル型スピンフィルター効果の実現
Project/Area Number |
22740223
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 雅章 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50508405)
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Keywords | スピントロニクス / スピンフィルター効果 / トンネル磁気抵抗果 / 強磁性絶縁体 |
Research Abstract |
強磁性絶縁体La_2NiMnO_6薄膜によるトンネル型スピンフィルター効果の実証と,レーザーアブレーション法での成膜条件の最適化によるスピンフィルター効率の向上を目的に,強磁性金属La_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3/非磁性絶縁体SrTiO_3/La_2NiMnO_6/Cr/Au構造の磁気トンネル接合素子を作製して,素子の磁気抵抗効果を測定し,トンネル磁気抵抗比からLa_2NiMnO_6薄膜のスピンフィルター効率の評価を行った.本年度は,磁気トンネル接合素子の伝導特性を向上させるために,レーザーの強度が安定して,強度の調整が容易な2倍波長のYAGレーザーを成膜に用いた.SrTiO_3ステップ基板上に磁気トンネル接合素子用の多層膜を成膜し,フォトリソグラフィ装置などを用いて大きさが数μm程度のサイズの素子へ加工を行った.作製した素子に対して10Kでの電流電圧特性を測定し,トンネル障壁層のバリア高さと障壁厚さを評価したところ,素子の設計値から考えて妥当なトンネル障壁層が形成されていることが確認できた.また,強磁性金属La_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3層の伝導特性の向上も確認できた.これらの素子に対して10Kから150Kの範囲で磁気抵抗測定を行ったが,これまでの測定ではLa_2NiMnO_6のトンネル型スピンフィルター効果によって生じるトンネル磁気抵抗効果の確認には至っていない.現在は,La_2NiMnO_6薄膜やLa_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3薄膜をレーザーアブレーションで作製する際のレーザー強度,酸素圧,基板温度などの条件の探索を行い,作製した磁気トンネル接合素子の磁気抵抗測定の評価を行なっている.
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