2010 Fiscal Year Annual Research Report
両極ドープ可能な高温超伝導銅酸化物によるモット絶縁体近傍と電子ドープ域の物性研究
Project/Area Number |
22740229
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀬川 耕司 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (20371297)
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Keywords | モット絶縁体 / 酸化物高温超伝導体 / 高品質単結晶 |
Research Abstract |
銅酸化物における高温超伝導はモット絶縁体にキャリアをドープした系で発現すると考えられているが、結晶構造を変えずにモット絶縁体をまたいでキャリアの符号を変えることのできる"両極ドープ系"銅酸化物はこれまでに1つしか発見されていない。その例であるLaをドープしたY123系(YLBLCO系)に加え、希土類サイト置換のないNd123系やPr123系を新たな両極ドープ系として作製することを試み、高温超伝導母物質モット絶縁体近傍ならびに電子ドープ城の物性を明らかにすることが本研究の目的である。YLBLCO系についてはc軸抵抗率測定と弾性中性子回折実験により、キャリアのない状態から電子的キャリアとホール的キャリアをドープした場合で反強磁性転移温度の変化が異なるだけではなく、磁気構造も異なっていることを明らかにし、Nature Physicsに論文を発表した。また、光電子分光によって同一の系で初めて、電子ドープ域とホールドープ域での化学ポテンシャルが約0.8eV移動していることを観測し、論文を発表した。Nd123系ではフローティングゾーン法で単結晶が得られたように見えたが、分析の結果得られた結晶は別の相であることが明らかになった。その後、結晶成長時の雰囲気の酸素濃度の最適化を試みたがNd123系の単結晶は微小なものしか得られなかった。ジルコン酸バリウムるつぼによるフラックス法では単結晶が得られたのでアニール条件を最適化を現在進めているところである。
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Research Products
(6 results)