2011 Fiscal Year Annual Research Report
両極ドープ可能な高温超伝導銅酸化物によるモット絶縁体近傍と電子ドープ域の物性研究
Project/Area Number |
22740229
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀬川 耕司 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (20371297)
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Keywords | モット絶縁体 / 酸化物高温超伝導体 / 高品質単結晶 |
Research Abstract |
銅酸化物における高温超伝導はモット絶縁体にキャリアをドープした系で発現すると考えられているが、結晶構造を変えずにモット絶縁体をまたいでキャリアの符号を変えることのできる"両極ドープ系"銅酸化物はこれまでに1つしか発見されていない。その例であるLaをドープしたY123系(YLBLCO系)に加え、希土類サイト置換のないNd123系やPr123系を新たな両極ドープ系として作製することを試み、高温超伝導母物質モット絶縁体近傍ならびに電子ドープ域の物性を明らかにすることが本研究の目的である。 YLBLCO系に続き、Nd123系でジルコン酸バリウムるつぼによるフラックス法で単結晶が得られたのでアニール条件の最適化を試みたが、酸素を極限まで減らすことを試みると結晶が分解してしまい、これまでのところ成功していない。 そこで手法を変え、電気化学的手法により酸素を極限まで減少させた試料の作製を試みたが、これも両極ドープに至るまで酸素量を変化させるには至らなかった。しかし、電気化学的手法の研究からアイデアを得たトポロジカル超伝導体CuxBi2Se3の合成ではこれまでで最も超伝導特性の良い結晶を得ることができ、顕著な成果をあげることができた。YLBLCO系ならびにNd123系では電気化学還元によって酸素を奪い取ることを試みたが、Cuイオンの存在下で同様の操作をBi2Se3単結晶について行うとCuをインターカレートすることができる。超伝導の発現にはアニールが必要であるものの、Bi^<3+>との相互置換を抑えることで良い超伝導特性を得ることができたと考えられる。
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