2012 Fiscal Year Annual Research Report
スピン軌道相互作用のある強相関電子系の非平衡ダイナミクス
Project/Area Number |
22740240
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大西 弘明 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (10354903)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 強相関電子系 / 軌道自由度 / スピン軌道相互作用 / イリジウム化合物 / 低次元磁性体 / 動的スピン構造因子 / 数値計算 / 動的DMRG |
Research Abstract |
スピン軌道相互作用誘起モット絶縁体Sr2IrO4を念頭に、スピン軌道相互作用を含むt2g軌道ハバード模型の基底状態を厳密対角化によって調べた。前年度までに、イリジウム化合物に対応する電子数d5の場合について解析を行い、相互作用パラメータを変化させた場合の相図、スピン軌道状態、多極子状態を明らかにしていた。イリジウム化合物では、スピン軌道相互作用により軌道自由度が消失するが、Ta4+やOs7+など電子数d1の系では、スピン軌道相互作用の影響下でも軌道自由度が活性のままである。こうした電子数が異なる場合について解析を行い、高次の多極子秩序が実現する可能性を指摘した。また、スピン軌道相互作用の下での超伝導の可能性を探究するために、梯子格子系に密度行列繰り込み群法を適用して、クーパー対形成のための束縛エネルギーを調べ、超伝導発現に有利な条件を議論した。 LiCuVO4など強磁性フラストレート鎖の磁場相図において、高磁場でスピン多極子状態が実現することが見出され、注目を集めている。この新奇磁気状態をスピンダイナミクスの観点から明らかにするために、最近接強磁性-次近接反強磁性相互作用が競合する一次元フラストレート量子スピン系の磁場中スピンダイナミクスについて、動的密度行列繰り込み群法を用いた大規模数値計算によって調べた。動的スピン構造因子の磁場平行成分と磁場垂直成分を解析した結果、平行成分ではギャップレスモードが現れ、そのピーク位置が磁化に応じてシフトするのに対して、垂直成分は2マグノン束縛状態形成を反映してギャップモードが現れることを示した。この低次元磁性体のスピン多極子状態と、スピン軌道相互作用系の多極子状態の関連は興味深い問題であり、今後の研究課題として取り組む予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|