2010 Fiscal Year Annual Research Report
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22740251
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
今村 卓史 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (70538280)
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| Keywords | ASEP / KPZ / ランダム行列 / 確率過程 / 非平衡 / 揺らぎ |
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| Research Abstract |
一次元非対称単純排他過程(ASEP)は排他的相互作用する他粒子ランダムウォーク模型である。ASEPは定常状態のみならず、その動的性質も厳密に解析できるという点で貴重なモデルとなっている。近年ASEPにおいて、非定常カレント分布関数が厳密に計算され興味を持たれている。カレント分布と密接に関係するものとして、カレントのN次指数モーメントがある。千葉大学の笹本智弘氏と私はこの物理量について研究を行った。我々はまず、シュッツによって明らかにされたASEPの双対性を利用することで、カレントのN次指数モーメントが1個からN個の粒子系のASEPのグリーン関数を用いて表わされることを明らかにした。さらにこれを利用することで、一般の初期配置で成り立つN次指数モーメントの表式を得た。カレントのN次指数モーメントについては、これまでトレーシーとウィドムによって特定のいくつかの初期条件で計算されていた。我々はそれを含んだ一般の初期条件における積分表示を得た。またこの表示は、双対性というASEPの一般的な性質から自然に導出される。この結果を出発点として、今後カレント分布あるいは指数モーメントに関するさらに興味深い数理構造が明らかになることが期待される。特に自由フェルミオンあるいは行列式構造が、この物理量にどのように表れるかについて考察していきたい。本研究成果は、Journal of Statistical Physicsに論文として出版された。また国内外の研究会において研究発表を行った。
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