2010 Fiscal Year Annual Research Report
炭素関連物質における電子構造、格子振動および超伝導の解析
Project/Area Number |
22740252
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
是常 隆 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (90391953)
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Keywords | 電子格子相互作用 / 超伝導 / 第一原理計算 / フラーレン / BNナノチューブ |
Research Abstract |
まず、電子格子相互作用が重要となる系を念頭におき、第一原理的に計算したバンド構造やフォノン振動数、電子格子相互作用を利用して、Eliashberg方程式などのGreen関数を用いた理論を第一原理的に取り扱うプログラムを開発した。特に、最局在ワニエ基底を用いた実空間での基底を併用することにより、従来モデル計算で行われていた手法との親和性を高め、それらの手法をそのまま第一原理から行うことができるようにした。これにより、これまでモデル計算を使った定性的な議論しかされていなかった様々な効果を、第一原理から議論することが可能になった。この手法は、今後、電子格子相互作用が重要な系において重要な役割を果たしていくものと考えられる。 また、炭素の電子格子相互作用を利用した物質設計の一例としてBNナノチューブを利用したピーポッドの電子状態の計算を行った。BNナノチューブはカーボンナノチューブと同じく様々な直径やカイラリティを持ちうるが、カーボンナノチューブの場合と異なり、常に5eVほどのギャップを持つ。従って、中に物質を内包させた場合、ギャップ中の状態はBNナノチューブの影響をほとんど受けないことが予想される。実際、アルカリドープフラーレンをBNナノチューブに内包させた物質の電子状態を調べたところ、Fermi面近傍は一次元のアルカリドープフラーレンといえることが明らかになった。さらに一次元特有の圧力依存性をもつこと、また、三次元の場合と同様高い転移温度が期待できることが分かった。
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Research Products
(6 results)