2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740253
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
古石 貴裕 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20373300)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | イオン液体 / 水 / 分子シミュレーション / 国際情報交換 |
Research Abstract |
通常タンパク質はイオン液体中では変性するが、水を加えた水和イオン液体の場合は、条件によりタンパク質の構造が維持されることがわかっている。このようなタンパク質の変性効果を調べるため、疎水性及び親水性の板のある系で典型的な変性剤である尿素、グアニジウムイオン(Gdm)、メタノール(meoh)水溶液の分子動力学シミュレーションを行い、変性剤がタンパク質の親水部、疎水部にどのように作用するかを調べた。 シミュレーションでは、変性剤を含む水溶液の上部に親水性の板、下部に疎水性の板を配置し、その外側を真空状態とした系で計算を行った。ここで使用した親水板は重心を固定し回転運動のみを行う水分子で構成され、疎水板には位置を固定した炭素原子からなる1層のグラファイトを使用した。 それぞれの変性剤と親水板、疎水板との親和性を調べるために変性剤の各位置での存在分布を求めた。その結果、meoh、尿素は親水板、疎水板の両方の近傍で平均密度よりも20~30%多く存在していることが分かった。一方、Gdmは疎水板近傍で平均密度よりも5%程度多く存在していることが分かった。また、親水板と疎水板近傍での親和性を比べると、全ての変性剤は親水板に比べ疎水板への親和性が高いことが分かった。これらの結果から変性剤は、タンパク質の親水部、疎水部双方の近傍に多く存在できることが示唆され、これにより強い変性効果を持つと考えられる。 しかし、実際にはmeohよりもGdmの変性効果の方が強いとされているので、存在分布のみで変性効果の強弱を説明することはできない。そこで、親水板、疎水板近傍における変性剤の滞在時間を調べた。その結果Gdmが疎水板近傍に滞在する時間は尿素、meohと比べて10倍以上長いことが分かった。以上の結果から、尿素、Gdm、meohともにそれぞれで異なる変性作用を持っていると結論づけることができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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