2011 Fiscal Year Annual Research Report
液体中における横波発生のメカニズム~第一原理分子動力学法
Project/Area Number |
22740257
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宗尻 修治 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (90353119)
|
Keywords | シミュレーション / 動的構造 / 横波 / 液体 |
Research Abstract |
昨年度の第一原理分子動力学(MD)法を用いた研究により、液体中に発生するミクロな横波の起源には、原子間の斥力によるcage効果によるものがあることがわかった。また、原子集団が縦波(横波)を作ると、その波と同程度の振動数をもつ横波(縦波)が生じることがわかってきた。これは、横波のもうひとつの起源である。 今年度は、この縦波と横波のミキシング現象は、液体一般に起こる現象なのかを明らかにするために、原子間相互作用が2体力のみの場合、および、3体力を含む場合のモデルポテンシャルを用いた古典MDシミュレーションを実行した。その結果、単純液体の代表である液体アルゴンでさえミキシングが起こることが分かった。このことは、1971年のLevesqueらの先駆的なMDによって液体中にも横波が存在することが発見されて以来、これまで全く指摘されていなかった現象である。また、相互作用が異方的である液体シリコンの方が、より顕著にミキシングが現れることも明らかにした。さらに、シリコンのように液体構造が異方性を持つ方が、ミキシングを起こりやすいことを、結晶におけるミキシングを調べることによってモデル化した。結晶の場合、波数ベクトルが結晶の対称性の高い軸に沿っている場合は、ミキシングは起こらないが、結晶軸からずれた方向へ波数ベクトルを選ぶとミキシングが起こることを示した。このことが、異方的な液体構造を持つ場合にミキシング効果が大きいことへのひとつの解釈を与えるのではないかと考えている。
|
Research Products
(5 results)