2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740260
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大槻 道夫 青山学院大学, 理工学部, 助教 (30456751)
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Keywords | 物性基礎論 / 粉 / ジャミング転移 / ガラス転移 |
Research Abstract |
粉、砂などの粉体は、低密度状態では流体的に振る舞う一方、高密度状態では固体的に振る舞う。この流体的⇔固体的な振る舞いの変化はジャミング転移と呼ばれる。粉体のジャミング転移の研究は、これまで粉体粒子間の摩擦を無視した理想的な状況についての解析が主に行われていた。しかし、実際の粉体ではそうした摩擦を無視できない。本研究課題では、そうした実際の一般的な状況でのジャミング転移が、どのような特異性を持つのかを調べるのが一つの課題であった。当該年度には、実際にジャミング転移への粒子間摩擦の影響を、シミュレーションを用いて調べ、摩擦の影響でジャミング転移点近傍の粉体の物性に顕著な履歴依存性が発生することが分かった。また、ジャミング転移に類似した現象としてガラス転移が存在する。このジャミング転移とガラス転移の対応を、両方の転移が発生する粒子モデルで調べ、二つの転移を支配する転移点が独立に存在することを示した。こうしたジャミング転移、ガラス転移を示す物質では、そのレオロジー特性に降伏応力が発生する。降伏応力の発生はある種の静止摩擦の発生として捉えられる。こうした静止摩擦が、物体の運動にどのような影響を表すのかを、静止摩擦をともなう摩擦界面をもった弾性体の解析によって調べた。この解析によって、こうした弾性体のマクロな摩擦係数が、弾性体に加えられた圧力やサイズによって大きく変化することを示した。これらの一連の研究によって、これまで理想的な状況だけで調べられていたジャミング転移が、実際の系においてどのような影響を表すのかを知ることができた。ジャミング転移は日常的、工学的な状況でも見られる現象であり、一連の研究成果によって、その現実的なコントロールへの道筋が開かれると期待される。
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Research Products
(10 results)