2010 Fiscal Year Annual Research Report
深海の熱水噴出を例とした超臨界水の流れのダイナミクス
Project/Area Number |
22740261
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小紫 誠子 日本大学, 理工学部, 講師 (90318361)
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Keywords | 流体 / 数値シミュレーション / 超臨界水 / 深海 / 熱水噴出 / 非圧縮性方程式 |
Research Abstract |
深海の熱水噴出孔下の海底下の熱水でみられる超臨界水を数値的に解くための物理・数学モデルを構築した。具体的には、高精度高効率計算を実現するため、密度を温度のみの関数と仮定した下で圧縮性ナビエ・ストークス方程式を非圧縮性方程式に準ずる方程式に変形し支配方程式の定式化を行った。超臨界状態では、通常温度のみならず圧力が変化した場合でも密度が大きく変化するが、本研究のように高圧の深海における熱水では、圧力は水圧が支配的であるため圧力はほとんど変化しないものと考え、温度によって密度が定まるものと仮定した。すなわち、質量保存を保障する連続の式は、温度を支配するエネルギー保存の式を用いて、密度の時間変化ではなく温度で速度の発散が決まる式に変形して、圧力ボアソン方程式に組み込む。このとき、密度はファンデルワールス型の状態方程式もしくは圧縮率のビリアル展開を用いて消去する。連続の式以外の方程式で現れる密度は、既に調べられている超臨界状態における水の定圧下の温度-密度の表から補間多項式を立式して温度の式に置き換える。以上のようにして方程式の定式化を行い、数学モデルを構築した。 また、深海の熱水噴出現象を扱うため、噴出した熱水の海洋中での大域的な流れを3次元数値シミュレーションによって再現し、流れの構造についての知見を得た。このとき用いた数値モデルは超臨界流体を扱うものではなく、非圧縮性方程式を温度差が小さいという仮定の下で解く方法を採用したものであるが、水温が低い深海における大域的な流れを扱うには十分と考えられる。またその際、非圧縮性方程式を解く数値モデルを、より精度良く高速で計算できるよう改良を行った。
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Research Products
(5 results)