2012 Fiscal Year Annual Research Report
Lyapunov指数の一般化と非平衡非定常現象への応用
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22740262
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
秋元 琢磨 慶應義塾大学, 理工学研究科, 講師 (30454044)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | エルゴード理論 / エイジング |
Research Abstract |
本研究では、長時間平均で定義されるような巨視的な観測量が本質的に揺らぐ非平衡現象の基礎付けを行なうため、エルゴード性の非平衡状態への拡張を目指している。これまで、カオス写像によって決定論的に動きながら拡散するモデル(決定論的拡散)を用い、平均2乗変位(MSD)が線形よりも遅く(劣線形)増大するような遅い拡散を示すときに、長時間平均で定義されたMSDが本質的に揺らぐ事を示した[Phys. Rev. E 82, 030102(R) (2010)]。さらに、遅い決定論的拡散にバイアスを入れ、ドリフトの大きさと拡散係数の関係(アインシュタインの関係)を拡張し、単一の軌道で成立するアインシュタインの関係を示した[Phys. Rev. E 85, 021110 (2012)]。そして、MSDが線形より速いスケールで増大するような拡散(速い拡散)を示す決定論的拡散において、外場に対する応答が分布として現れる事を示した[Phys. Rev. Lett. 108, 164101 (2012)]。 本年度は、異常拡散(MSDが線形には増大しない拡散)を示すようなカオス力学系における力学的不安定性を精密に拡張し、定量化(一般化リアプノフ指数)を行ない、リアプノフ指数の観測関数が非可積分であるときと初期分布の影響を明らかにした。一般化リアプノフ指数は、長時間平均と初期アンサンブルによる平均を取る事により定義される。本研究では、系が経過した時間と観測時間の比(エイジング比)を導入し、初期アンサンブルをエイジング比で特徴付けた。そして、一般化リアプノフ指数は、エイジング比に強く依存し、系が経過する(エイジする)と不安定性が小さくなる事を示した。この成果は、Phys. Rev. E 87, 032915 (2013) に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)