2011 Fiscal Year Annual Research Report
真空紫外線~軟X線領域における磁気円偏光二色性計測システムの開発
Project/Area Number |
22740267
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
長谷川 登 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (50360409)
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Keywords | 量子エレクトロニクス / 円偏光真空紫外線 / 軟X線レーザー / 強磁場発生 |
Research Abstract |
本申請では、真空紫外から軟X線領域(波長20nm~140nm)における簡便な磁気円偏光二色性計測手法を、レーザープラズマ放射源と超高速パルスパワー強磁場との組み合わせで実現することを目的としている。この波長領域では多くの共鳴準位があり、感度の高い円偏光二色性評価が可能であると期待されているものの、偏光子の使用が困難なことから研究が遅れている領域である。本研究では、ゼーマン効果による線スペクトルの円偏光分離を利用することにより、偏光素子フリーで、明るい、高時間、空間分解能をもった真空紫外~軟X線領域円偏光二色性測定システムを開発するものである。平成23年度には、パルス電磁石の改良を行い、真空中において20テスラ以上の磁場強度を繰り返し使用可能なコイルにより発生させる事を試みた。コイルの形状をレーザープラズマ軟X線源の形状に適した大きさ(長さ5mm、内径2mm~4mm)とする事で小型電源(静電容量約0.3μF)による強磁場の発生を可能とした。更にコイルとのインピーダンス整合(約1Ω)を考慮した真空への導入端子を開発し、真空中で効率良く電磁石を駆動させることを可能とした。発生した磁場はファラデー効果を利用した2次元磁場計測システムにより評価を行った。コイル内部での磁束密度はほぼ一定であり、充電電圧20kVに対して約23テスラの磁束密度が得られている事が判明した。この磁束密度は波長40nm以上の真空紫外領域での円偏光発生には十分である。一方、波長40nm以下のプラズマ軟X線レーザーに対しては不十分である(30~40テスラ必要)が、レーザー励起軟X線レーザーではプラズマ中の衝撃波による磁場圧縮の効果が予想されており、現状の磁場強度でも円偏光分離が得られると期待される。
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