2010 Fiscal Year Annual Research Report
アクセプター分子に対する光変調法を用いた光合成エネルギー伝達機構の解明
Project/Area Number |
22740271
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 亮介 大阪大学, 先端科学イノベーションセンター, 特任講師 (70379147)
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Keywords | 超高速分光 / 光合成 / エネルギー移動 |
Research Abstract |
光合成エネルギー伝達系において、エネルギーのアクセプターであるバクテリオクロロフィル(BChl)の電子状態を、プレパンプ光によって光変調することで、カロテノイドからBChlへのエネルギー伝達経路を変化させる。その微小な変化量を、本研究で改良した超高速・高感度過渡吸収スペクトル測定によって評価し、光合成エネルギー伝達系における複雑なエネルギーの流れを明らかにすることを目的としている。まず、紅色光合成細菌Rs.rubrum S1由来のコアアンテナLH1複合体において、BChlを光変調することで、カロテノイドS_2状態からBChlへのエネルギー伝達経路を一部遮断することに成功した。これにより、複合体中カロテノイドのS_2→S_1内部転換速度を見積もった。さらに、BChlを光変調することにより、カロテノイドの光学禁制準位S_1とS*の信号強度比が大きく変化することを見出した。これまで、S*状態については不明な点が多く、その物理的起源や生成機構について議論が分かれている。BChlに対する変調量と、S*/S_1生成比を詳細に調べることで、カロテノイドのS_2からS_1,S*の緩和過程が、隣接するBChl電子状態の影響を強く受けることを明らかにした。つまり、BChlがQ_y状態に励起されていると、隣接するカロテノイドにおいてS_1からS*へのエネルギー流が生じることが分かった。さらにこの結果から、S*状態が電子励起状態であり、三重項準位への前駆体であることを示した。
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Research Products
(16 results)