2010 Fiscal Year Annual Research Report
高分子電解質の分子レオロジー:電気流体力学相互作用とその多体効果
Project/Area Number |
22740275
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
名嘉山 祥也 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10422982)
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Keywords | 化学物理 / 計算物理 / 表面・界面物性 / 流体工学 / 物性理論 |
Research Abstract |
溶媒中のモノマービーズの流体力学相互作用と結合したブラウン運動を解くことができる直接シミュレーションの開発を行った.溶媒中の高分子鎖やコロイドの運動は遅い流体力学相互作用と速い熱ゆらぎの両方の影響をうけるマルチスケールの現象であるため,理論の構築はもとより数値シミュレーションの構築を難しくしていた.高分子鎖のブラウン運動を解くために,申請者らが開発した計算法であるSmoothed Profile法にもとづき,溶媒の熱ゆらぎを考慮したfluctuating hydrodynamicsとの連成法を開発した.開発した方法により,エネルギー等分配則の検証をおこない,溶媒の熱ゆらぎによってモノマービーズの運動学的温度を正しく再現することに成功した.溶媒を連続体で記述して熱ゆらぎと流体力学相互作用を考慮する他の方法としては,Lattice Boltzmann法とDSMC-Navier-Stokes方程式ハイブリッド法が報告されている.Lattice Boltzmann法では,モノマービーズを質点として取り扱われるため,排除体積効果を適切に考慮できず,排除体積効果を考慮するとエネルギー等分配則が満たされないことが報告されている.それにに対し,Smoothed Profile法では排除体積効果が考慮されている.DSMC-Navier-Stokes方程式ハイブリッド法では,溶媒に圧縮性流れの定式化を行っているため,非常に小さな時間発展計算が必要となっている.それに対し,Smoothed Profile法ではモノマービーズの長時間運動に対応させて非圧縮流れの定式化を実現しているため,効率的な計算が可能となっている.
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